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母親に頭があがらない理由

藤井の両親は、藤井が生まれてまもない頃に事情があって離婚しているため、藤井は母1人子1人で、母が苦労して育ててくれたという子供時代を送っている。この時のエピソードは以前このコラムでも書いている。母は、息子には満足に食事をさせたが、自分は食事をまともにとらずに栄養失調になってしまったこともあった。息子はそんな母の姿を見て、給食代を請求することをはばかられ、近所のお寺で賽銭泥棒をしたこともあった。今、不自由なく暮らす藤井の姿を知っている人からすれば、驚くような話ばかりである。恵まれていたとは言えない少年時代だったが、それでも非行に走ることなく成人できたのは、すべては母のおかげ。高校生の頃には、女の子のことで母親は何度も謝りに行っているという。青春という時間真っ只中のことで、今となっては笑い話のようなものだが、藤井の脳裏にははっきりとその時の光景が残っているという。ほとんどすべての男性は、母親に頭が上がらないというが、社会的な成功者であっても、やはり一生母親とはそんな存在なのだろう。ジェンダーレスの時代とはいえ、こればかりは変わらない価値観であると思いたい。