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シー・クエンス
仕事ものがたり

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幻の超有名不可能物件を、可能にしたアイデアとは。

宅地造成の業界で、ある有名な物件があった。その土地の環境には大きな問題があり、土地を分断して真ん中に通り抜け道路を作らなければ、緊急車両が通ることができないので建築が不可能なのである。緊急車両が入るための6mという条件を満たしていなかった。道路の幅が足りないというだけで、他の環境は整っていただけに、多くの業者が開発を試みては挫折したという幻の物件だった。

シー・クエンスでその物件を下見した時、一度はあきらめたものの、何か方法はないものか?と思案にくれた。もともと考えることが好きな藤井は、緊急車両のためになぜ道路幅が6m必要なのかを、図面とにらみっこして練り直してみる。そしてその物件の南側に愛知用水の管理道路があることに気づく。その道路に2mの幅員をつければ、6mという条件をクリアできるのではないか?その企画案を役所に持ち込んだ時、担当者からはかなり驚かれたという。

「既存道路とくっつけてはいけないなど、どこにも書いていなかった。消防法と道路構造法を知っていたから思いついたというだけなんだけどね」こうした発想の転換は、異業種から宅地開発の業界へとやってきた藤井ならではの着眼点なのかもしれない。