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陶芸家・中村公之氏との交流

今から数年前のこと。藤井は、陶芸家・中村公之(まさゆき)氏と出会った。陶芸家と宅地造成の専門家。一見、混じり合うことのない業種ではあるが、なぜか気が合った。土と向かい合うものとして、似た肌感覚を思ったのだろう。

公之氏は、名古屋の楽家として茶道具を作陶する「中村道年家」の、3代中村道年の次男として生を受けた。父の急逝後、母が4代中村道年(道年尼)を、現在は兄である長男が5代中村道年の名を継いでいる。公之氏は、茶道具ではなく、現代美術の陶芸家としての道を選び、イタリア留学を経て、現代美術の視点で作陶を続けている。

その公之氏に、藤井はあるオーダーをすることに。シー・クエンスが手掛けることになった物件に公之氏を連れていき、その場所に立ってもらった。藤井がその物件と出会った時に感じた“土地の力”を、公之氏の感性で作品にして欲しいというオーダーだった。どんな土地にも、わたしたちに語りかけてくる力がある。土に向かい続けている藤井と公之氏は、言葉では表現できない感覚を共有しているからこそ、そのオーダーが成立したのかもしれない。今、その作品は藤井の手元にあり、会社の自席で作品を眺め、その土地に藤井は毎日思いを馳せている。下部が池、両端に道、上に向かって伸びゆくラインはその土地で育まれる未来をイメージしたものである。