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自分の身近に存在する“文化”を愛でるということ

証券会社、損害保険会社、と、金融大手企業でトップセールスとして数字を売り上げていた藤井が、ある日突然不動産業をおこしたと聞いたら、金融関係の延長線上として不動産をはじめたのだと捉える人がいたかもしれない。確かに不動産は金融機関と密接な関係性を持ちながら事業を進めていくが、藤井の頭の中には、不動産イコール金融関係とは思っておらず、むしろ文化創造企業でありたい、と願っている節がある。バブル崩壊後の日本の経済は、文化に対する認識をどこかに忘れてきてしまい、数字ばかりを追いかけるようになってしまった。ただ安くて質の悪いものは売れない、質が悪くて高いものを売るのは詐欺行為である。そして日本は本来高くあるべき良いものを安く売ってきてしまった。しかしながら、日本の文化の奥深さはこうした間違った価値観の横行により、すっかり忘れ去られてしまった感がある。

文化的な価値を見出せない人に、感謝・感動・感激を巻き起こすことなどできるわけがない、と藤井はいう。これからの日本を考える時、世界に対してイニシアティブをとることのできるコンテンツは文化である、と言い続けている。前にも文化の語源についてはここに書いてきたが、宅地造成という不動産業の分野に身を置く藤井にとって、文化の根元は、わたしたち人間が住う場所に根付き、自然に伝承されていくものであると考えている。宅地を創るということは、次の世代の価値観をつくるための大切な第一歩なのだ。