シー・クエンス
仕事ものがたり
レゴランドで土産を買う人
宅地開発を事業柱としているシー・クエンスにとって、物件の工事現場で働いてもらう人々は、もっとも大切な仕事のパートナーであり、彼らがいなくては事業が成り立たない重要なポジションを担ってもらっていると考えている。いわゆる肉体労働者たちである。ある時、藤井は青森出身のスタッフから妙なことを頼まれた。毎日仕事が終わった後に、普通の労働者であれば、銭湯に行って体をさっぱりとさせ、ビールの一杯でも飲むだろう。人によっては居酒屋で地元の美味しいものを食べることが楽しみだという人もいるのではないか。ところが、青森出身のその人は、なるべくお金を使わないように努め、工期が終わっていよいよ帰るというその時、藤井にこう言った。「家で待っている子どもに土産を買ってやりたいので、レゴランドに連れていってもらえませんか?」と。そう、その彼は、子どもに土産を買うために、毎日節約をして過ごしていたのである。藤井は胸が熱くなった。彼が帰った後、しばらくは、子どもに自慢げに土産を渡して微笑む彼の姿を想像していた藤井であった。